勝利条件

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 俺の友人が俺を見つけたらしく、声をかけてきた。 「よう。見かけなかったからどうしたのかとちょっと心配したぜ」 「今日のレポートはどうなった」  俺はそればかりが気が気でなかった。 「ああ、あれ。なんか運ぶの面倒だから昼休み中に先生の居室にもってこいって」  ――勝った  俺は確信した。 「だから今からみんな出しに行くと思うぜ。その感じじゃ、お前も終わってるんだろ。出してから飯にしようぜ」  友人が言い終わるや否や、授業終了のチャイムが鳴る。  徹夜明けのせいかとても耳障りだった。  すると友人の携帯電話が鳴り出した。 「お、悪いな。ちょっと待ってくれ」  友人はそう言って携帯電話を取り出す。  今時珍しく、着メロでもなければデフォルトの呼び出し音でもない。  徹夜明けの疲れた頭にはちょっと響く音だった。  ジリリリリリリリリリ。  それはまるで目覚まし時計のようで――
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