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満員電車……通勤快速は、ほどほどの満員だった。
眞白綾波(ましろあやは)は目立たないようなソフトスーツでドアから少し離れたところで、つり革をぎゅっ、と握りしめた。
「…あっ」
股間…に異物を綾波は感じた。
オフホワイトのタイトスカートの下は当然下着で、その中を縦にまさぐられ、ほじられている。
(痴漢…?)
ひとを疑うのは良くないと思う。でも、こんな場所にこんな動きは変だとも思う。
(違う?違うよね?いや、そうだよね。でも…)
見回してもわからない。
誰なのかわからない。
(気のせい?…でも凄いところ触られてるっ…)
電車はあと2駅だ。今、駅を飛ばしたばかりで、すぐに降りることはできない。
(我慢しなきゃ…)
綾波は、頬が赤くなるのを止められない。
でも、あと2駅……耐えねばならない。遅刻することはないと思うが、降りてまた次の列車を待つのは、ちょっと大変だ。
それに。
(私みたいな30オンナを狙うほど飢えた痴漢はいない。
うっかり疑って違っていたら迷惑をかける)
「あっ」
(でも限界!)
綾波は歯を食いしばった。
(我慢できない!)
明らかにうごめいているそれは、指だと思う。指だと思うが、ちょっと……
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