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コンビニの袋を抱えて戻ってくると、子猫はまだベンチの上に居た。
子猫に近寄り、コンビニ袋からパウチされたキャットフードを取り出す。お皿はないので自分の手のひらにキャットフードを取り出し、そーっと子猫に近づけた。
子猫は最初不思議そうに、手のひらのキャットフードの匂いを嗅いだ後、猛烈な勢いで食べ始めた。
あっという間にキャットフードを食べきった後も、私の手をぺろぺろと舐めていた。
私は決心を固めた。
そもそもご飯を与えた時点で、責任は取るつもりだった。野良猫に餌を与えるということは、そういうことだと思っていた。
子猫の両脇をもって抱き上げ、顔を覗き込む。
「君ひとりなら、私と家族になっちゃう?」
「にゃ~」
「それはオッケーってことでよろしいか?」
「にゃー」
二つ返事でオッケーが出た。
「それじゃあ、帰ろうか」
胸に抱きかかえると、子猫は素直に腕の中で丸くなる。
明日は休みで、昼まで寝ているつもりだったけど、そうはいかなくなった。
動物病院に、ペットショップ。それにマンションの管理会社に連絡。条件付でペット可のマンションだったはずだけど、もしダメなら引越しも辞さない。
この子の為ならなんだって出来る気がする。
テキパキ効率よく働いてサービス残業も減らせる気がするし、課長の残り少ない髪の毛も毟り取れる気さえする。
腕の中に子猫の確かな体温を感じながら、軽い足取りでマンションへと帰る。
「まずは名前考えなくちゃね~」
「にゃ~ん」
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