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プロローグⅠ
夏休みの真只中、サトは学校へ向かって歩いていた。田舎の小道をヒタヒタと進む。地面に新聞紙が張り付いている。まるでのりでくっつけたみたいと思った。日付を見たら先月の記事だった。
『岸内閣総辞職』
そういえば、総理大臣が暴漢に襲われたとか何とかで随分と騒ぎになっていたことを思い出す。しかし、サトにとって興味を持てる話題ではなかった。
それにしても乾いた日照りが辛い。体中から汗がダラダラと流れ出てくるので、1分くらいの間隔で繰り返し額を手の甲で拭う。
サトはカラッと晴れた日が嫌いだった。空気が重くなるような曇り空の方が不思議と気分が落ち着くのだ。そんな自分なので他の友達から無視され、苛められるのもある意味しょうがないかと思うこともある。
サトは今年で十歳になる。小学校ではその暗い風貌と性格が原因で、入学当初から陰湿な苛めが継続されていた。そんなサトにとって夏休みは一年でも数少ない心と体が休まる期間であった。そして、夏休みだからこそサトは学校へ向かっていた。サトにとってどうしても興味をひくものが今の学校にあった。
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