プロローグⅠ

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 サトは校庭をそっと覗いてみた。どうやら他の生徒の姿はなさそうだ。夏休み中といえどもお盆期間以外は、校庭や学校の図書室は開放されているので油断は出来ない。サトは影のように校庭の隅にある遊具に近づいた。  今年赴任してきた手先の器用な教師が、手作りの遊具を校庭にいくつか拵えてくれたのだ。それは子供たちに大変人気で休み時間には大勢の子供が群がる。だが、サトは当然その輪の中に入って行くことは出来ない。興味はあったがまだ一度も遊具で遊んだことがなかった。 土台が木製であり、その上に鉄製の手すりのようなものがちょうどカップのような形にくっついている。中にはちょうど4人くらいの人が入れるスペースがあり、真ん中のハンドルを回すと回転する遊具。これがサトにとって一番気になる遊具だ。男子の如きなどは囲いが手すり式になっているので、その外側にしがみつき、猛スピードで回転させて遊んでいるのだが、サトはそんな下品な遊び方をする気はない。   サトは遊具に腰かけハンドルに手を置き、ニヤッと笑った。ずっと乗りたかったのだ。 ――何か物音が聞こえた気がしたので振り返ってみると。 「!」サトの表情が恐怖で歪んだ。  男女合わせて4人の生徒が一斉にサトの方へ走ってくる。常にクラスの中心となりサト
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