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③
「そう言えば、キミ、さっきは我関せずーって感じだったよね」
「え?」
「もう、ちゃんと会話に入らないと……。これは、キミ達新入部員の歓迎会でもあるんだからね?」
「ははは……ちょっと、緊張しちゃってて……」
まさか見られていたとは……。笑って誤魔化す僕に、先輩は言う。
「ほらほら。こういうのも創作での何かしらの材料になるんだからね? 花見なんだし、下ばかり見ていないで景色くらい見てみなよ」
「景色……」
先輩に促され、周囲を見渡す。考えてみれば、こうしてこの時間にじっくりと景色を見たことは少ない。
夜の校舎、星が散りばめられた夜空、桜……。そして一際目についたのは、鮮やかな黄金色の月だった。全ての景色が、まるで月を際立たせるためにあるかのように思えるほど、その美しさに心を奪われてしまった。
「どう? 何か感想は?」
明るく尋ねてきた先輩に、思うまま答える。
「――……先輩」
「ん? どうしたの?」
「月が、綺麗ですね」
「……え?」
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