1.雨の中の子猫

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◇ 佐尾くんと初めて話したのは、私が嫌いな雨の日だった。 その日は朝からずっと雨で。憂鬱な気分でなんとか1日をやり過ごした私は、1秒でも早く帰りたいと思いながら、急ぎ足で家に向かっていた。 私の通う高校は、自宅から徒歩で約30分だ。 バスや電車でも通えるけれど、高校のそばまで行くバスは駅前からしか出ていない。自宅から電車の最寄り駅までは徒歩で15分かかるので、中途半端に便利が悪い。 自転車通学も許されているけれど、訳あって私はが好きじゃない。 それで私は、晴れの日も雨の日も、暑い日も寒い日も。毎日30分かけて、徒歩で登下校していた。 30分の登下校も、晴れの日や曇りの日はいい。 暑くても寒くても、まだ我慢できる。 だけど、雨の日が一番つらい。 地面に跳ね返った泥水や傘から落ちてくる水滴が、靴や靴下、制服のスカートまでも濡らす。
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