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「断言! 佐尾、西條さんに何か弱み握られてるんじゃないかな」
「まさか。もしかしたら、佐尾くんが西條さんのことが好きってのもあり得るかもよ?」
「やだー。あたしだってずーっとそばで佐尾のこと見てたのに。どうして西條さんみたいな地味な子に横から持ってかれなきゃいけないの? そろそろあたしが報われてもいい頃じゃない?」
ははっと笑い声が聞こえて、上履きがきゅっと床を擦る音がした。
清水さん達がトイレの出入り口に向かって歩いてきているのか、少しずつ声が近くなる。それでも、彼女達の話は決して途切れることはなかった。
「佐尾って、昔からぼっちの子とかちょっと暗い子に優しいんだよ。男女問わず……」
ぼっちの子とか、ちょっと暗い子に……。
清水さんの言葉が、グサリと胸に突き刺さる。
そんな言葉、これまで陰で言われ慣れてる。今さら、その言葉で直接的に傷付いたりなんかしない。
だけど私は清水さんの言葉で、雨に濡れたショコラや柵の向こうから警戒心丸出しで睨んでいた茶太郎の顔を思い出してた。
そう。佐尾くんは優しいんだ────。傷付いたり、弱い立場にある相手には、とりわけ。
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