1.雨の中の子猫

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学校を出てからもう何度吐いたかわからないため息をこぼしたとき、数メートル先の住宅の間にある空き地の前で黒っぽい塊が丸まっていた。 よく見ると、それは制服を着た男の子の後ろ姿で。彼の制服は、うちの高校の男子のものと酷似していた。 こちらに背中を向けてしゃかみこんでいる彼の向こうには、開いた状態で地面に置かれた黒い傘がちらりと覗き見えている。 どうしてこんな雨の中、地面に傘なんか置いて座り込んでるんだろう。 疑問に思いながら見ていると、それまでうつむいていた彼が頭を上げた。その瞬間、黄色に近いくらい明るい茶髪の後頭部が視界に飛び込んできたから、ぎょっとした。 何、あのひと。明るい茶髪の後ろ姿だけで判断するのは偏見かもしれないけど。 こんな雨の中、傘を置いてじーっとひとりで座り込んでるなんて。ちょっと怖い人かもしれない。 私の通う高校には、いつも校則に違反するような悪さをしている生徒が少なからずいるのだ。
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