1.雨の中の子猫

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あまり近付かない方がいい人なのかも。そう思ったら急にドキドキしてきて、早く家に帰りたいのに、その場で足がすくんでしまった。 後ろを振り返ったけれど、近くを歩いている人は私のほかにいない。 私の家の方角は彼が座り込んでいる場所のさらにずっと先だ。一本道だし、そこを通らなければ帰れない。 あの人のそばを通り過ぎていって大丈夫だろうか。 いや、でも。この雨の中で立ち往生も嫌だし。勇気を出してあの人の横を通過するしかない。 私は覚悟を決めると、傘の柄を握る手に力を込めた。そうして極力息をしないように、気配を消すように、急ぎ足で彼のそばを通り抜ける。 でも、彼が何をしているのが見たいという好奇心が全くないわけではなかった。 彼のそばを完全に通り抜ける間際に、気付かれないようにそっと視線を投げてみる。
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