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「濡れたままよりいいだろ」
「そうだけど……」
「お前なんて、俺からしてみればただの子どもだよ」
何とも思っていない顔でトモくんは言うけど、やっぱりちょっと複雑だ。
言葉を飲み込みながら、麦茶のグラスを口に運ぶ。
そんな私の様子を、部屋の隅で丸まっていたショコラが顔を上げてじっと見てきた。
「だけど、雨の日にパニック起こすなんてひさしぶりだよな。あの佐尾くんて子と何かあったのか?」
そう問われて、何をどこからどう説明すればいいのか迷った。
麦茶のグラスを両手で包み込んでうつむく私に、トモくんは深く突っ込んではこなかった。
「何があったのか知らないけど、お前のことすごく心配してたぞ。ケンカなら、早いとこ仲直りしろよ」
トモくんが、うつむく私の頭をぐしゃりと撫でる。
「うん……」
トモくんの話を半信半疑で聞きながら頷く。
心配ではなくて、困ってるんじゃないかな……。
佐尾くんのことを想うと、胸が鈍く傷んだ。
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