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◇
「車で送ってやろうか?」
乾いた制服に着替えて帰る準備を整えていると、別室で仕事をしていたトモくんが声をかけてきた。
「大丈夫。まだそんなに遅くないし、ひとりで帰れるよ」
ただでさえ仕事の途中で迎えに来てもらったのに、これ以上仕事の邪魔をするのは申し訳ない。
トモくんの申し出を断って玄関に向かうと、ショコラが珍しく私の見送りに出てきてくれた。
靴を履いていると、私の足首に纏わり付いて長い尻尾を絡めてくる。
「今日はやけに優しいね。どうしたの?」
笑いながら尋ねると、ショコラは澄ました顔で私を見上げてツンと顔をそらした。
どういう気まぐれなんだろう。
笑顔を苦笑いにかえて、その場にしゃがみ込む。
そっと撫でてやると、私の足元に腰を落としたショコラが気持ちよさそうに目を細めた。その顔を見つめながら、ふと佐尾くんのことを思い出す。
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