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うつむいて前髪の上から額を押さえると、佐尾くんが大股で颯爽と近付いてくる。
佐尾くんの上履きの先が私のそれと数十センチ離れた距離で向かい合ったとき、頭上で彼の笑う声がした。
「よかった。しゃべってもらえて」
「え?」
そっと視線だけを上に向けると、佐尾くんが少し恥ずかしそうに私を見下ろして首筋を掻いた。
「西條さんが昨日も今日も学校来ないから、気になってた。俺のせいだったらどうしようかと思って……」
「風邪ひいちゃって……」
「そうだったんだ。大丈夫?」
「うん。もう平気」
「それならよかった」
そう言って笑ったあと、佐尾くんが急に黙り込んだ。
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