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2日ぶりに登校した日の3、4時間目の授業は、家庭科の調理実習だった。
休んでいてそのことをすっかり忘れていたから、エプロンを持ってくるのを忘れた。
家庭科準備室で先生に予備のエプロンを借りて調理室に行くと、もうすでにほとんどのクラスメートが班ごとに纏まって席についていた。
調理実習の班は5〜6人ずつくらいのグループに分けられている。名簿順で分けられた班のメンバーの顔ぶれに、私は少し憂鬱な気分になった。
私の班のメンバーは、佐尾くんと清水さん。それから清水さんと仲の良い笹井さんと、おとなしい印象の園部くんと私の5人。
調理実習は好きだけど、今日の授業はなんとなく気が重い。
のろのろと自分の班のテーブルに行くと、笹井さんと佐尾くんの間の席を陣取った清水さんが、楽しそうにおしゃべりしていた。
清水さん達3人の話の輪に入れずにいる園部くんは、肩身が狭そうにテーブルの端っこに座って窓の外を見ている。
空いている席を探して視線を巡らせると、ちょうど園部くんの隣が空いていて。私は清水さん達の会話の邪魔をしないように、静かにそこに座った。
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