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授業が始まって、先生が実習の説明をし出しても、清水さんたちは小声でヒソヒソとおしゃべりを続けていた。
今日は肉じゃが、きゅうりとワカメの酢の物、溶き卵のすまし汁、わらび餅という和食メニューを作るらしい。ひとつひとつは難しくないけど、品数が多いから手際よくやらないと時間がかかりそうだ。
先生が簡単な説明を終えると、クラスメートたちがそれぞれ席から立って動き始めた。
私のグループでも、おしゃべりばかりして先生の説明なんてろくに聞いていなかった清水さんと笹井さんが、テーブルの上の材料を手に取りながら仕切り始める。
「あたし、わらび餅作りたい」
「でも先に野菜の皮とか剥いたほうがいいんじゃない?」
「そっか。じゃぁ、あたし人参の皮剥こうかな。佐尾、ジャガイモ剥きなよ」
清水さんがジャガイモをひとつ手に取り、それをピーラーとともに佐尾くんに渡す。差し出されるがままにそれらを受け取った彼は、困惑した表情で手にしたものをジッと見つめていた。
「え? これ、どんなふうに使うの?」
「え? 皮の剥き方知らないの?」
清水さんはジャガイモを片手に首を傾げている佐尾くんを見て笑うと、彼の隣に寄り添うように並んでジャガイモの皮剥きを指導し始めた。それによって人参は放置されてしまったので、笹井さんがそっちの皮剥き担当に回る。
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