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私はテーブルの真ん中に置いてあったきゅうりをふたつ手にとると、包丁の背でトゲトゲした部分を軽く削いでから、そのうちの一つを園部くんに渡した。
「薄めに切ればいいんだっけ?」
「うん、薄く輪切りに」
私が頷くと、園部くんは若干危なっかしい握り方をした包丁でゆっくりときゅうりを切り始めた。
その隣で私ももう一本のきゅうりを切っていると、半分くらい切り終えたところで横から視線を感じた。手を止めて振り向くと、まだ4分の1も切り終えていない園部くんが、私の手元をじっと見ている。
「西條さん、うまいね。薄さが俺の切ったやつと全然違う」
園部くんはそう言うと、自分が切ったきゅうりをひとつ摘んで私に見せてきた。
確かに、頑張って薄くは切っているのだろうけど酢の物にするには若干厚みがあるような気がする。
まな板の上を見たら、園部くんの切ったきゅうりの分厚さはまちまちだった。
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