1.雨の中の子猫

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佐尾くんが困ったように眉を寄せながら、甘えた声で鳴く子猫の頭を撫でる。 「今、保護できるやついねぇか友達に片っ端からあたってて返事待ち。うちに連れてってやりたいんだけど、俺ん()のマンションペットダメなんだ。おまけに母親が猫アレルギーなんだよ。こんなかわいーのにな、お前」 佐尾くんがとても優しい目をして愛おしげに子猫を見つめる。その横顔に、ほんの少し心が揺れた。 「少しの間なら保護頼めるかも……」 「え?」 顔を上げた佐尾くんが、ゆっくりとひとつ瞬きをする。 「従兄弟が獣医してる病院が近くにあって……」 「そうなんだ?すげーじゃん!」 最後まで言ってないのに、佐尾くんが期待いっぱいに目を輝かせるからちょっと焦った。 「あ、でも、まだ最近なったばっかりで。見習いみたいな感じで働いてるから、確実に頼めるかはわからないんだけど……」
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