1.雨の中の子猫

22/27
前へ
/201ページ
次へ
その後、私たちはふたりでひとつの傘に入って、子猫が入った段ボール箱を見つけた空き地まで引き返した。 だけど、段ボールを庇うように置かれていたはずの佐尾くんの傘は、そこからなくなっていた。 風に飛ばされたのか、誰かに持って行かれたのか。そこには、雨に濡れてボロボロになった段ボール箱しか残されていない。 「西條さん。悪いけど、ついでにもうちょっと先まで入れてもらっていい?」 ここまで来て「ノー」と言えるはずもない。 結局、私は佐尾くんのことを家まで送って行くことになった。
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

193人が本棚に入れています
本棚に追加