2.雨の月曜日

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「今日も途中まで入れていってくれない? 傘、忘れちゃったんだよね」 やっぱり。この前傘に入れてあげたときに、「今回限りだ」とあれほど念押ししたはずなのに。 悪びれのない目をして笑いかけてくる佐尾くんに、心底呆れてしまう。 「この前が最後って言ったはずだけど」 「そうだっけ?」 最初からとぼけるつもりだったのか、佐尾くんが白々しく首をかしげる。 「そう。次の雨までには傘を用意するように、って伝えたはずだけど」 「そういえば、そうだったかも」 「そうだったかもじゃないから。仮に佐尾くんの傘がなかったとしても、家の人の傘を借りるとかビニール傘を買うとか、いくらでも方法はあるでしょう? 第一、今日は朝から雨だったじゃない。朝はどうしたの?」 強い口調でそう言うと、佐尾くんが困ったように肩を竦めた。
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