2.雨の月曜日

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どうして佐尾くんは、雨の日にこんなふうに私に絡んでくるのだろう。 「西條さんの傘に入りたい」と。しつこく主張してくる佐尾くんを見上げながら、ふと思う。 あぁ、もしかして。 「佐尾くん、私の傘が気に入ってるの? それなら、佐尾くんにひとつあげようか?」 佐尾くんが雨の日に私に絡んでくる理由がずっとわからなかったけど……。佐尾くんの目的が文字通り「私の傘」なのだとしたら、今までの彼の行動にも納得がいく。 普段の雨の日に使う白地に小花柄の傘も、念のために毎日スクールバッグに忍ばせているピンクの折りたたみ傘も、どちらも女の子っぽいから佐尾くんには似合わない気がするけど。どっちが気に入ってるんだろう。 真面目に考えていたら、佐尾くんが眉根を寄せて、ため息を吐いた。 「俺、傘が欲しいわけじゃないんだけど……」 「え?」 「まぁ、いっか。帰ろ、西條さん」 「え、ちょっと佐尾くん……」 一緒に帰るなんて一言も言ってないのに、佐尾くんが私を促して歩き出す。
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