2.雨の月曜日

13/24
前へ
/201ページ
次へ
「そんな離れてたら濡れるよ? もうちょっとこっち来たら?」 自分の傘なのに遠慮して端の方に入っていたら、佐尾くんに笑われた。 心持ち佐尾くんのほうにずれてみたけれど、それでも傘からはみ出した右腕とスクールバッグは雨に当たって濡れてしまう。 学校を出てからも、微妙な間隔を保ちながら佐尾くんの隣を歩いていると、不意に斜め上から視線を感じた。 ちらっと視線をあげると、無表情の佐尾くんと目が合う。彼に真っ直ぐにじっと見つめられて、思わず心臓がドクンと跳ねた。 どうして、そんなにこっち見て……。 つい動揺して右肩にかけていたスクールバッグを引き寄せしまい、びしょ濡れのカバンを抱きしめた制服の胸元がじんわりと湿る。 焦って失敗した。 そっと息を吐くと、左の肩と腕にトンと何かがぶつかった。
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

191人が本棚に入れています
本棚に追加