2.雨の月曜日

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反射的に顔をあげて左を向くと、佐尾くんの腕が私の腕とぴったり寄り添うくらいの距離にまで近づいていた。 びっくりして飛び跳ねるように距離をとろうとすると、佐尾くんが「あー」っと声をあげる。 「待って」 佐尾くんはそう言って、私が退いた分だけ横に距離を詰めてくる。そのせいで、佐尾くんの右腕と私の左腕がまた軽くぶつかる。 ぎょっとして逃げ出そうとしたら、佐尾くんがものすごく遠慮がちに私の制服の袖を摘んで引っ張ってきた。 「濡れるから、もうちょいこっち」 ぽかんと口を開ける私を見て、佐尾くんが困ったように眉を寄せる。 「そんなにあからさまに避けられたら、結構傷つくんだけど。さっきから全然こっちに寄ってきてくれないし、西條さんが雨に濡れないようにするには俺が近寄るしかないじゃん?」 「私が雨に濡れないように、気にかけてくれてたの?」 瞬きしながら訊ねたら、佐尾くんが心外だとでも言いたげに顔をしかめた。
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