2.雨の月曜日

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「西條さん、おまたせ」 しばらく待っていると、佐尾くんがフェイスタオルと私の傘を持って戻ってきた。 息を切らせながらにこりと笑う佐尾くんを見れば、ものすごく急いでくれたのだろうとわかる。 だけど、降り止まない雨を見つめながらじっと立っていた私には、彼が戻ってくるまでの時間がものすごく長く、心細いものに感じられた。 佐尾くんが戻ってきてくれてよかった。もしかしたら、ずっとこのままなのかと思ったから。 「これで拭いて。西條さんの右側、肩と腕がすごい濡れてる」 「ありがとう」 差し出されたタオルを遠慮がちに受け取る。下ろしたてだと思われる白のタオルは、柔らかくて手触りが良い。 ふわふわのタオルで制服についた水分を落としていると、その様子をそばでジッと見ていた佐尾くんが、申し訳なさそうに眉根を寄せた。 「俺の挿し方が悪かったんだよな。ごめんね、寒くない? 風邪ひかないといいけど……」 「平気」 「ほんとに?」 頷くと、佐尾くんが眉を寄せたまま少し笑う。 「タオル、洗って返すね」 制服とスクールバッグを軽く拭いたあと、借りたタオルを半分に折りたたむ。
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