2.雨の月曜日

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「いいよ。このまま持って帰って洗濯機突っ込めばいいし」 「でも……」 私がタオルをスクールバッグに入れようとしていると、佐尾くんがそれを横から強引に奪い取る。 濡れたタオルを目で追っていたら、佐尾くんが不意に私に一歩近付いてきた。 「西條さん、髪も濡れてる」 佐尾くんがそう言って、タオル越しに私の髪に触れる。その瞬間、私の身体が反射的に震えた。 「触らないで!」 気付けば、ほとんど無意識に佐尾くんからタオルを奪って、彼のことを突き飛ばしていた。 タオルを握りしめて顔を強張らせる私のことを、佐尾くんが驚いた目で見つめる。 「あ、ご、ごめん……」 咄嗟に謝ると、佐尾くんが表情を曇らせながら、傷付いたような目をして笑った。 「こっちこそごめん。また、うっかり馴れ馴れしく触っちゃった。髪も濡れてるから拭いたほうがいいよ。風邪ひくといけないから」 「うん……」
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