2.雨の月曜日

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タオルで髪を拭く私と、それを見守る佐尾くんとの間に気まずい沈黙が流れる。 「タオル、やっぱり洗濯して返すね」 髪を拭き終えて顔をあげると、さっきは私の言葉を否定した佐尾くんが、首を小さく縦に振った。 「あ、私の傘……」 佐尾くんが持ったままでいる花柄の傘をそっと指差すと、彼がハッとしたように手元に視線を落とした。 「ごめん、忘れてた」 「やっぱり、この傘気に入ってる?」 「いや、違うって」 私に傘を差し出しながら、佐尾くんが気まずい空気を取り払うように明るく笑う。その笑顔に、ほっとした。 小さく微笑み返しながら傘の持ち手をつかもうとすると、佐尾くんが私をジッと見つめながらおもむろに口を開いた。 「西條さんの髪、綺麗だね」 その言葉に、一瞬手の動きが止まる。 視線をあげて瞬きしたら、佐尾くんが驚くほど綺麗に微笑みかけてきた。
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