3.雨上がりの放課後

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そういえば、中学時代も佐尾くんのそばで清水さんを見かけることが多かった。 佐尾くんのことが好きだった友人がそれに気付いて、「清水さんって絶対に佐尾くんのことが好きだよね。付き合ってるのかな」と、ため息混じりにぼやいていた。 ふたりが付き合っているのかどうかまではわからなかったし、私が友人のぼやきを肯定したことは一度もない。 けれど、清水さんが佐尾くんを好きなことは彼女の態度を見れば一目瞭然だった。佐尾くんと一緒にいるときの清水さんは、他の誰と一緒のときよりも嬉しそうな顔をして笑っていたからだ。 ふたりの関係が今どうなっているのかは知らないけれど、少なくとも清水さんのほうは今も佐尾くんのことが好きなんだろう。 佐尾くんに軽くボディタッチをしながら笑っている清水さんを見つめつつ、やっぱり今日の放課後は雨のほうが好都合だと思った。 雨が降れば、佐尾くんがまた、私の傘にいれてほしいと頼みにくるかもしれない。 そうすれば、この前の雨の日に借りたタオルを佐尾くんに返すことができる。
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