3.雨上がりの放課後

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「西條さん、どうしてさっきから俺の後ろ歩いてんの?」 「え? な、なんとなく……」 そうしておいたほうがいいと思って。困って口籠ると、佐尾くんが不満気に顔をしかめた。 「もうちょっと前においでよ。じゃないと、しゃべりにくい」 「あ、うん」 しゃべるって、何を……? そんなことを思いながら、遠慮がちに一歩前に出る。それでも、私と佐尾くんの間には、まだ不自然な距離があった。 「もうちょっと」 「え。あ、はい」 手招きされてもう半歩前に出ると、まだ不服そうな顔のままの佐尾くんに、再度手招きされる。
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