3.雨上がりの放課後

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足元を見て笑う佐尾くんの横顔を盗み見ながら、何がそんなに可笑しいのだろうと不思議に思った。 「だって、週3しか活動してなかったし。室内だし」 ぼそりと言うと、佐尾くんはますます可笑しそうにケラケラと笑う。 「室内だったら地味なの? じゃぁ、俺の中学のときの部活も地味なほうだ」 「何言ってるの。バスケ部は体育館でって意味では室内だけど、私の入ってた部活とは格違いだよ。うちの中学でも人気の部活だったでしょ」 肩をすくめながらそう言うと、佐尾くんが私を振り向いて大きく瞬きをした。 「西條さん、俺が中学のときバスケ部だったって知ってるんだ?」 「うん、まぁ……」 佐尾くんに意外に思われるのが不思議なくらい、私は彼が中学時代にバスケ部だったことをあたりまえみたいに知っていた。 友達が佐尾くんを好きだったということもあるけれど、一度も話したことのない私なんかの耳にも自然と噂が入ってくるくらい、彼は学年の男子の中でも目立つ存在だったのだ。 それに、私が通っていた中学のバスケ部は地区内でも強いほうで、どんな大会でもだいたいベスト8内に残っていた。 朝礼で表彰されるバスケ部のメンバーの中に、佐尾くんの姿を見かけた記憶だってある。
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