3.雨上がりの放課後

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「私は運動部には向いてないから。私なんかより、佐尾くんのほうずっとすごいでしょ?」 「いや、俺は別に……」 「でも、バスケ部でもいつもスタメンだったんだよね?」 そう言うと、佐尾くんが驚いたように目を見開いて、それから恥ずかしそうに顔を逸らした。 「一応は。ていうか、よく知ってるね、西條さん」 小さな声でつぶやく佐尾くんの頬が、ほんのり火照っているように見える。 私がバスケ部での佐尾くんの活躍を知っているのは、仲の良かった友達がいつもうれしそうに彼のことを話していたからだ。 でも、佐尾くんはバスケ部のなかでも目立っていたし、これくらいの情報なら他の同級生だってみんな知っていたと思う。 「たぶん、知らない人のほうが少ないよ。佐尾くん、高校ではバスケやらないの?」 今まで直接確かめたことはなかったけれど、雨の日も、今日も、帰宅部の私と同じ時間帯に下校しているところをみると、佐尾くんは高校では部活をやっていないんだろう。 バスケはもう辞めちゃったのかな。運動神経が良さそうだから、他の運動部でも充分活躍できそうなのに。
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