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「へぇ。あいつの名前、ショコラになったんだ? チョコレートみたいな濃い茶色の毛だったもんな」
ショコラの顔を思い浮かべているのか、佐尾くんが嬉しそうに頬を緩める。あの子を思って優しい笑顔を浮かべるその横顔に、胸が小さくざわめいた。
佐尾くんの明るい茶色の髪が、西に傾き始めた太陽の光に照らされて輝くのを見つめながら目を細める。
「きっと、ショコラも茶太郎も感じ取ったんだろうね。佐尾くんが優しいひとだって」
心に浮かんだことを思いのままに口にすると、佐尾くんがこっちを振り向いた。
「佐尾くんはきっと、動物に優しいんだよね。飼ってた金魚が死んじゃったときも、悲しくて学校休んじゃったんでしょ?」
「え? どうして西條さんがその話知ってんの?」
「知り合いに聞いたから」
手のひらで口元を覆った佐尾くんが、急に耳まで真っ赤になる。
知り合いというのはもちろん、佐尾くんのことが好きだった私の友達のことだ。
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