3.雨上がりの放課後

30/43
前へ
/201ページ
次へ
「それはすごいね。10年も一緒にいたら、金魚も家族だよね」 「もういいよ。この話は終わり」 佐尾くんの話に素直に感嘆の声をあげると、彼が恥ずかしそうに顔の前で手を振った。 「ていうか、西條さん。何気に俺のことに詳しいよね。部活のこととか、今の話とか。なんで?」 「なんで、って……」 佐尾くんが私の瞳の奥を覗き込むようにじっと見てくる。 言葉に詰まっていると、佐尾くんがその続きを催促するように、首を横に傾ける。その仕草に、なぜかドキリと胸が高鳴った。 なんで、かな。なんでかなんて、私にもよくわからない。 だけど、私が知ってる程度のことは、きっと同じ中学出身の他の女の子たちだって知っているはずだ。 特に、佐尾くんに好意を寄せている子たち────、たとえば、中3のときの私の友達や清水さんなら。
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

192人が本棚に入れています
本棚に追加