3.雨上がりの放課後

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「あれ? 和紗ちゃん?」 食パンの入ったレジ袋を片手に自宅に向かって走り出そうとき、後ろから声をかけられた。 聞き覚えのある懐かしい声に、駆け出すのをやめて振り返る。そこに立っていたのは、中3のときに佐尾くんに好意を持っていた友達だった。 「瑞穂(みずほ)ちゃん……」 同じ町内に住んでいるのに、彼女に会うのは中学を卒業して以来だ。 高校に入学してすぐの頃はお互いにメッセージで近況を報告しあったりしていたけれど、元々大親友というわけでもなかったせいか、だんだんと疎遠になってしまったのだ。 「ひさしぶりだね! 元気だった?」 微笑みながら駆け寄ってくる瑞穂ちゃんは、ほんのり髪を染めて、ナチュラルにメイクもしていて、中学時代のよりも随分と垢抜けていた。 「瑞穂ちゃん、感じ変わった。綺麗になったね」 「和紗ちゃんだって大人っぽくなってるよ」 照れ臭そうに髪の毛の先を弄りながら、瑞穂ちゃんも私にも無難な褒め言葉を返してくれる。
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