3.雨上がりの放課後

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「和紗ちゃん、ここのコンビニよく来るの? 意外と近所に住んでるのに、卒業してから全然会わなかったよね」 「そうだね」 にこにこしながら世間話を続けようとする瑞穂ちゃんに、曖昧に頷く。 中3のときの私と瑞穂ちゃんは、学校ではいつも一緒にいた。瑞穂ちゃんから恋愛相談を受けるくらいには仲が良かったけど、私たちが学校外で遊んだことは一度もない。 お互いに連絡先は知っているから、会おうと思えば会うことだってできたはずだけど……。 中学を卒業したあと、私たちはどちらも「会おう」と声をかけ合わなかったし、多分お互いにわざわざ予定を合わせてまで会う必要性を感じていなかった。 「あ、そういえば……」 お互いに当たり障りのない近況は教え合ったあと、瑞穂ちゃんがふと何か思い出したように、目を瞬いた。
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