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「それで話の続きだけどさ。こっそりとあとをつけていったら、昇降口で西條さんが佐尾のこと待ってたの。で、ふたりで一緒に帰って行った」
雨じゃないのに佐尾くんと一緒に帰ったのは、借りていたタオルを返したあの日だけだ。
まさか、清水さんに見られていたなんて……。妙な焦りで、心臓がドキドキと鳴る。
走って逃げたい気持ちでいっぱいなのに、私の足はその場で止まったまま。少しだけ膝が震えていた。
「えー、ウソ。西條さんて、秘密で佐尾くんと付き合ってるの?」
「違うでしょ。絶対ヤダ、そんなの。佐尾があんな地味な子と本気で付き合うわけないじゃん」
「それは美帆の願望でしょ」
「だけどあたし、同中だったから佐尾の歴代彼女だって知ってるもん。西條さんみたいなのは、絶対佐尾のタイプではない!」
「断言?」
もっともなことを言われてるってわかるのに、清水さんの言葉に胸がチクリと痛む。
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