第1章

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「カグ! 本屋の後は食料品売り場!」 「はい」 こうやって笑うと、綺麗な容姿がもっと綺麗に見えるからいけない。周りの注目を一身に集めている。当の本人は知らんぷりだ。 「ここですね」 エスカレーターを下りて右側にある大きな本屋に入る。 広いだけあって本の数も多い。 いくつもの棚に数え切れないほどの本が並んでいた。 これだけあれば欲しい本も見つかりそうだ。 「あっち見に行こう!」 神楽の着物の袖を引っ張ると、抵抗することなく着いてきてくれた。 私たちはそれぞれ本を探す。でも迷子になるといけないから、お互い見える範囲で。 「灯代さま。この2冊を所望します」 「うん! 私はこの4冊! 読んだら交換しようね」 「はい、もちろんですとも」 私の持っていた本をひょい、と取ってレジに向かう神楽の後を追う。 お金はちゃんと足りたけれど、時雨にあげるおやつはもうちょっと考えないと、帰りのバス代が無くなりそうだ。 「次は食料品売り場でしたね」 「うん! 随分と前に買ったグミ、売ってるといいな。時雨が気に入ってくれたんだよね」 「3年ほど前の……ですか?」 「うん!」
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