第1章

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「これだけあれば十分だよね」 「そうですね。ではお会計を済ませて帰りましょうか」 「うん!」 私たちはレジの列に並び会計を済ませてショッピングモールを出た。 「あっつぅ」 「夏ですからね、仕方ありません」 そう言う神楽は買った荷物を全部持ってくれているのに、しかも着物なのに、涼しそうに笑っていた。 妖怪だって暑さも寒さも感じる。苦手な気候とかだってあるのだ。なのに何故神楽は、こんなに暑さを感じさせないのだろうか。 「神楽、 暑くないの?」 「暑いですよ? 夏ですから」 「何でそんなに涼しそうなのよ!」 「涼しくなどありません。とても暑いので涼しい場所に避難したいです」 どうやら神楽にも暑さが分かるらしい……。安心した。 私たちはバス停でバスを待つ。けれどあの森へ全部のバスが止まるわけでもないので、何本かは見送る。 「あ、これだ!」 「ちゃんとお金を払ってくださいね」 「わかってるよ」 私はやっと来たバスに乗り込む。 他の人間のお客さんも乗って来るので、さっさと後ろの席へ向かった。 ちなみにこのバスは私と神楽、それと運転手さん以外は人間である。
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