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「今日の晩御飯は何かな?」
「なんでしょうね? お楽しみですね」
優しくふんわり笑う神楽につられて、私も笑顔になる。
それにしてもバスに乗ると眠くなってしまう。
「寝てもいいですよ? 着いたら起こしますから」
「じゃあちょっと寝ようかな」
私の頭が、神楽の肩に当たる感触に安心して、そのまま眠りに着いた。
「ひーよーさまー」
「うぅ~。も、う……ちょ、と」
「起きてください。もう着きましたよ」
「……。え?」
「ですから、着きましたよ」
私は神楽の肩から頭を離し、バスの中と窓の外を見渡した。
見慣れた木々が窓の外に見える。
私たちは急いで席を立つ。
「ご乗車ありがとうございました~」
そう微笑んだ運転手さんに、微笑みを返してバスを降りる。
ドアが閉まって森の方へと発車していくバスを見送って、私たちは家までの道を歩き出した。
「とてもよく眠っていましたね。久しぶりの町で疲れてしまいましたか?」
「うん。楽しかったけど、はしゃぎ過ぎたかな。」
私は肩越しに、はにかみ笑いをした。
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