第1章

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「灯代さま。私は晩御飯の準備をしてくるね。すぐに用意できるから」 「うん! 楽しみに待ってるよ」 私は和室から出て行く巴を見送って、今日買った物の整理を始めた。 「また新しい本買ったのか?」 「うん!」 いつの間にかこっちを見ていた時雨に、自慢げに本を見せる。 時雨は良かったな、と言って笑ってくれた。 狼だって笑うよ? ……雰囲気で見分けてるんだけどね。 ーーゴォォ 「灯代さま、クーラー直りましたよ」 「おぉ! やったぁ!」 クーラーの下に立つと、涼しい風が流れてきた。 「凄いね! ありがとう!」 「どういたしまして」 私たちはそのまましばらくクーラーの風で涼んでいた。 夕方の5時を過ぎて、町より涼しいとは言え、暑いものは暑いのだ。そんな中クーラー無しでモフモフの時雨は相当暑かっただろう。凄く幸せそうに冷たい風を浴びていた。 「クーラー最高」 「クーラーだからね」 お昼の時のように、時雨にもたれながら買ったばかりの本を開く。 時雨は、前足に頭を乗せて寝てしまった。 その横で、神楽が今日買った本を正座で読む。 それぞれが晩御飯までの時間を思い思い過ごした。
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