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私たちは、クーラーの直った和室へ女の子を案内した。
そこに巴がお茶を淹れて持ってきてくれた。
なんて空気の読める子……!
「私は、あ、怪しい者とかじゃなくて、その……」
「はい、分かっていますよ。取り敢えずお茶でも飲んで落ち着いてください」
神楽が女の人の姿をしていて助かった。私じゃ彼女を落ち着かせるなんてとてもじゃないけどできそうにない。
「い、頂きます。……お、美味しい」
女の子がお茶を飲むのを見て、私もズズッとお茶を啜った。
やっぱり巴の入れるお茶は最高だ。でもこの子にコーヒーを淹れさせると……美味しくないんだよね……。
「わ、私は、か、金井 夢子と言います」
「私は神楽と言います。こちらは時雨です」
「私は巴と言います」
「わ、わ、私は、ひ、灯代と、い、言いますです」
何か私だけすごい噛んだ!? は、はっずかし~。
そんな私を見てクスクスッと笑った夢子は、どうやら緊張が解けたようだった。
「それで、夢子さまは何故このような所へ?」
「ゆ、夢子さま……。……あ! え、えと。歩いてたら、着いちゃいました」
歩いて辿り着ける場所じゃないと思うんですがね……。
どうやって歩いたら妖のいる世界にたどり着けると言うのだ……。
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