第2章

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「どうやって来たのか、もう少し詳しく教えてくれますか?」 「私、高校2年なんですけど……。バス通学をしてるんです。……今日は学校が終わるのがいつもより遅くなってしまって……」 夢子の話を要約すると、今日の学校が終わって、いつもより1本遅いバスに乗ったら、いつもは寝ないのに今日に限って寝てしまい、気が付いたら知らないバス停まで来ていたらしい。 「それで、ここは何処だろうってふらふらして……」 「それでこの家を見つけたのですね?」 「はい……。こんな時間にすみません……」 それでも普通、この場所までバスに乗れるはずはない。ここには相当家に帰りたくないと思うほどの悩み事がある人がたまに迷ってきたりするけれど……。 「ゆ、夢子は、お家に帰りたくないの?」 私は恐る恐る尋ねる。人間に会う機会なんてめったにないから怖いのだ。 前足の上に頭を置いて寝ている時雨の後ろに隠れて、夢子が答えるのを待つ。 「そ、そんなに怖がらないで大丈夫だよ。私何もしないから」 苦笑いされてしまった。 私はそうっと時雨の後ろから出て、神楽の横に座る。
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