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「あっつーい! 何でクーラー壊れるのよ!」
クーラーの壊れた部屋で、私は手足をバタバタして喚いていた。
「暑いなら何で俺にもたれてんの?」
「……落ち着くから」
私はバタつかせていた手足を止めて、力なく後ろにもたれる。
そんな私を、特に文句を言うこともなく黙って支えてくれる。
「ねぇ、時雨は暑くないの?」
「暑いよ。暑いに決まってんじゃん」
「……毛、そろっか?」
「やめろっ!」
白いモフモフとした触り心地の良い毛に手を埋める。
この暑い時期に生きている証の体温は普通に暑くて、即座に手を抜いた。
「シグ~! 暑いよー!」
「……」
私を、白いモフモフした尻尾でペシペシと叩く狼は、遂に何も答えてくれなくなった。
「ちょっと! 無視は酷いよ!」
「暑いなら離れろよ……」
興味なさげに寝ようとしている狼を、ゆっさゆっさと揺り起こす。
「あーもう! 何だよ!」
「この狼め!」
「じゃあもう服脱げよ!」
「……いくら狼でもそれはダメだと思うよ?」
面倒くさそうに答える時雨を、私はさっきのテンションから一転して、冷めた目で見た。
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