第1章

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「あっつーい! 何でクーラー壊れるのよ!」 クーラーの壊れた部屋で、私は手足をバタバタして喚いていた。 「暑いなら何で俺にもたれてんの?」 「……落ち着くから」 私はバタつかせていた手足を止めて、力なく後ろにもたれる。 そんな私を、特に文句を言うこともなく黙って支えてくれる。 「ねぇ、時雨は暑くないの?」 「暑いよ。暑いに決まってんじゃん」 「……毛、そろっか?」 「やめろっ!」 白いモフモフとした触り心地の良い毛に手を埋める。 この暑い時期に生きている証の体温は普通に暑くて、即座に手を抜いた。 「シグ~! 暑いよー!」 「……」 私を、白いモフモフした尻尾でペシペシと叩く狼は、遂に何も答えてくれなくなった。 「ちょっと! 無視は酷いよ!」 「暑いなら離れろよ……」 興味なさげに寝ようとしている狼を、ゆっさゆっさと揺り起こす。 「あーもう! 何だよ!」 「この狼め!」 「じゃあもう服脱げよ!」 「……いくら狼でもそれはダメだと思うよ?」 面倒くさそうに答える時雨を、私はさっきのテンションから一転して、冷めた目で見た。
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