第1章

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ガサガサと草むらが揺れる。 「お呼びですか?」 そこから出てきたのは九尾の狐だった。 「うん! あのね、私の洋服を買いに行こ!」 「洋服とは珍しいですね」 「シグがね、袴が暑いんじゃないのって言うから」 私は、自分の着ている袴を見下ろしながら言う。 「とても可愛くて似合っておられますけれどね」 クスクスと笑って言う神楽に、私は嬉しくてつい、頬が緩んでしまう。 見たか時雨、私は褒めてもらったぞ! 振り向いて時雨を見ると、目を閉じて寝ていた。 「それで、どちらまで行かれるのですか?」 「町まで行こう! 新しくできたと噂のショッピングモールだよ!」 私は腰に両手を当て、胸を張ってドヤ顔で宣言した。 それを聞いた神楽は、薄い水色の生地に赤や黒の金魚が泳いでいる着物を着た、人間の綺麗な女性姿に変化した。 「今日は女の人だ!」 「お買い物は同性とのほうがよろしいかと思いまして」 「すっごく綺麗!」 「ありがとうございます」 クスクスと笑った神楽は、綺麗な腰まである黒髪を緩く束ねていて、どこからどう見ても綺麗な女の人で、つい見惚れてしまった。
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