第1章

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「それじゃ行ってくるね! ちゃんと留守番しててよ?」 「はいはい。行ってらっしゃい」 「「行ってきます」」 私たちは部屋の中に戻り、ちゃんと襖から部屋を出て玄関に向かう。 玄関を出てから庭を歩くと大きな門がある。その門を出ると少し長めの階段があり、それを下る。 「ところで、お金は持っていますか?」 「持ってるよ?」 「足りるのですか?」 「大丈夫! 交通費も込み! もちろん神楽の分もね」 そう言って神楽にウインクをすると、にっこりと優しい笑顔が返ってきた。 山と行っていい場所にある家から、ショッピングモールのある町までは距離がある。だからバスで行くのだけれど、バス停に行くまでに15分程歩かなければならない。 その道のりを私たちは他愛ない話をしながら歩いていく。 「そう言えば、クーラーが止まっちゃったんだよね……」 「それは大変です。いくら町より涼しくとも、やはり熱中症には気をつけなければなりませんし」 私はがっくりと肩を落とす。 あれだ。地球温暖化のせいだ。絶対そうだ。
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