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「洋服は涼しげなものを選びましょう」
「うん」
バス停に着き、5分後に来る予定のバスを待つ。
3時間置きに来るから、ナイスタイミングだった。
「そう言えば、さっきはあんな所で何してたの?」
「何というほどの事もないですよ。ただの散歩です」
そう微笑む神楽は、嘘をついているようには見えない。……と言うか、もともと嘘をつかない。
狐は人を化かすと言うのにね……。
「バスが来ましたね」
神楽が見ている方向を見ると、確かに遠くからバスが来ているのが見えた。
私たちの前で止まり、ドアが開く。バスに乗り込むと後ろの方の座席に座った。
「貸切だ」
「町の方へ行くと、どんどん増えてきますよ」
私たち以外に誰も乗っていないバスは、何となく新鮮な気分になる。とは言え、大体家の方からバスに乗る時は貸切状態の事が多いけど。
ここから1時間程、バスに揺られる。
「着いたら起こしてね」
「はい」
神楽の肩に頭を預けて、目を閉じる。
バスの中は冷房が効いていて、涼しくて気持ちいい。その心地よさから私は直ぐに意識を手放した。
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