第1章

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「……ま。……さま? 灯代さま!」 「ぅわっはい!」 なんだ! 誰だ! ここはどこだ! 落ち着こう……。 「おはようございます。驚かせてしまいましたね」 「神楽。あ! もう着いたの?」 「次のバス停ですよ」 私は神楽越しに窓の外を見る。 高いビルや大きなスーパー、賑わっている商店街の風景がどんどん過ぎて行く。道路も車やトラックやバイクがたくさん走っている。 「人間の世界って感じがするよね」 「そうですね。あの場所では人間はほとんど立ち入れない世界ですしね」 私の住んでいえる場所は、普通なら人間が来ることはない。人間の世界ではあの場所は存在しないのだ。いわゆる妖怪の住む世界だ。 しかし、あの家の住人である私は半妖だ。 私の父は人間で、母は妖怪だった。 だったと言うのは、2人とも随分と昔に死んでしまったから。父は事故で亡くなった。母は妖怪だから長生きなのだけれど、重い病気とやらにかかってしまった。 私はその頃はまだ小さくて、詳しいことはよく分からなかった。それでも2人がたくさん私を愛してくれていたのは覚えている。 因みに私は変化したりとかは、妖力がないからできないのだけれど、寿命が長い。らしい。そう母が言ってたと神楽から聞いた。
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