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「……ま。……さま? 灯代さま!」
「ぅわっはい!」
なんだ! 誰だ! ここはどこだ!
落ち着こう……。
「おはようございます。驚かせてしまいましたね」
「神楽。あ! もう着いたの?」
「次のバス停ですよ」
私は神楽越しに窓の外を見る。
高いビルや大きなスーパー、賑わっている商店街の風景がどんどん過ぎて行く。道路も車やトラックやバイクがたくさん走っている。
「人間の世界って感じがするよね」
「そうですね。あの場所では人間はほとんど立ち入れない世界ですしね」
私の住んでいえる場所は、普通なら人間が来ることはない。人間の世界ではあの場所は存在しないのだ。いわゆる妖怪の住む世界だ。
しかし、あの家の住人である私は半妖だ。
私の父は人間で、母は妖怪だった。
だったと言うのは、2人とも随分と昔に死んでしまったから。父は事故で亡くなった。母は妖怪だから長生きなのだけれど、重い病気とやらにかかってしまった。
私はその頃はまだ小さくて、詳しいことはよく分からなかった。それでも2人がたくさん私を愛してくれていたのは覚えている。
因みに私は変化したりとかは、妖力がないからできないのだけれど、寿命が長い。らしい。そう母が言ってたと神楽から聞いた。
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