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暑い、熱いよ。体中の関節が気持ち悪い。体がいうことを聞いてくれない。ただひたすら鉛みたいに重い。もう自分の体じゃなくなったみたいだ。息もうまくできない。だれか、助けて……燃えちゃう……。
おでこにぺったりとくっついた冷たい感覚に少しホッとした。
また顔の上に何かが落ちてきた。
カサカサに固まってる唇にふわりと柔らかいものが覆いかぶさる。なんだ? と少し動かすとそろそろと柔らかいのから水がチョロチョロと出て来た。口を開けたけど、上手く入らないで俺の頬を伝う。それでも肌が濡れる感覚が気持ちよかった。体内の熱を吐き出すように浅く呼吸してると柔らかいものは離れてまた落ちてきた。
水……。
さっきよりしっとりしたもの。恵みの水。そんな感じだった。また零れる。ちょっと入ってきた水分を飲み込もうとゴックンとした。
もっと欲しいよ。もっとちょうだい。
少しずつ少しずつ流れ込んでくる。求めるように震える顎を僅かに動かした。渇ききったカサカサの唇が融ける。また離れてく。
足りない。もっといっぱい欲しい。
再び落ちてきたものに吸い付いた。トプンと水が口の中を満たす。それをコクンと飲み込み、顎を上げて更に吸い付いた。
美味しい。すごく美味しい。
じゅるると音をたてながら贈り物の恵みを吸いまくった。
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