3人が本棚に入れています
本棚に追加
思わず出たおかしな質問に、先輩は吹き出した。
「あははっ。木村沙耶、お前おもしろいな」
「え?先輩、私の名前、知って……」
「もちろん。だってお前だろ?姉キのタイム抜いたの」
「え?…って、もしかして」
「速水優香。ウチの学校の卒業生、元陸上部」
「あ……あ」
知らなかった。
走ることに夢中すぎて、誰のタイムを抜いたかなんてまったく気にしていなかった。まさか速水先輩のお姉さんが残した記録だったとは。
「このあと消毒終わったら、会いに行くか?」
「え?」
「姉キに」
気付いたら頷いていた。
どうして、なんて聞けなかった。
もっと速水先輩のことを知りたい。
その一心だった。
最初のコメントを投稿しよう!