ハンディ恋愛

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思わず出たおかしな質問に、先輩は吹き出した。 「あははっ。木村沙耶、お前おもしろいな」 「え?先輩、私の名前、知って……」 「もちろん。だってお前だろ?姉キのタイム抜いたの」 「え?…って、もしかして」 「速水優香。ウチの学校の卒業生、元陸上部」 「あ……あ」 知らなかった。 走ることに夢中すぎて、誰のタイムを抜いたかなんてまったく気にしていなかった。まさか速水先輩のお姉さんが残した記録だったとは。 「このあと消毒終わったら、会いに行くか?」 「え?」 「姉キに」 気付いたら頷いていた。 どうして、なんて聞けなかった。 もっと速水先輩のことを知りたい。 その一心だった。
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