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「何か飲む?」 「ココアちょうだい」 「ケーキは?」 「いらない」  カウンター席の一つに座って、欠伸を一つ。 「眠そうだな」 「ん~。姉ちゃんが夜中まで起きててさー。眠れなかった」 「そうか、仕事大変そうだもんな」 「ん~。仕事は別にしてなかったみたい。最近眠れないんだってさ」  朝、目の下にクマがくっきりと浮かんだ顔で、そう言いうとうととしていた姉を思い出す。それはそれは眠そうであったが、今日も仕事に行かないといけないとふらふらした足取りで出て行った後姿を見つめることしかできなかった。 「鏑木さんは姉ちゃんと話さないの?」 「離してるけど、なんか疲れてるっぽいからさ。長話もしにくいんだよね」  ふ~ん、と適当に相槌を打つ。しばらく世間話をし、鏑木さんにきちんとココア代を支払ってから店を出ようとした。
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