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「そう言えばさ、近くに変な施設ができたんだ」 「変なって?」 「なんか、よくわかんないけど、ちらしあるよ。見る」 「ん~」  鏑木さんが手渡したチラシを受け取り眺める。  ポップなかわいらしい絵。ゆりかごのような三日月型の地球にかわいらしい女の子が毛布に包まって寝ている絵。 「えっと、新しい睡眠を提供します。……えっとこれ、なんて読むの? 『土』に入浴の『浴』って」 「『つちよく』でいいんじゃない?」 「『土浴』体験。地球に抱かれて暖かな眠りを、だって」 「普通に寝れないんだったら、まぁ気分転換にもって思ったんだけど、いきなり行かせるわけにはいかないから、萌ちゃん行ってきてよ。ほら、コレもってったら一回は無料だってさ」  そう言いチラシの下を指差す。 「え~、なんかよくわからないけど、帰りに水とか買わされそう」 「いいじゃん買ってこいよ、記念記念。それにお金がなさそうな学生には高価なモノ買わせないよ」  たぶんと鏑木さんが小さく言った言葉を私は聞き逃さなかった。 「他人事だと思って」 「まぁまぁまぁ。さくらの為だよ」 「ん~、も。しょうがないなー。前金ちょうだい」  そう言い、私は鏑木さんに手を出した。
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