夢のはじまり

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 催眠道――それは、誰もが生きる上で当たり前のように行う“睡眠”を基にした全く新しい競技である。  ルールは至極単純。一対一で試合を行い、先に相手を眠らせた方が勝ち。試合中は道具を使用してもよいが、麻酔など薬品を用いるのは禁止。更に暴力行為も禁止。無理矢理失神させるのではなく、あくまで優しく相手を寝かしつけなければならない。非常に慈愛に満ちた平和的な競技なのである。  そんな催眠道に魅入られた元不良少年の元番長がいた。その名も涅六田享四郎(ねむたきょうしろう)。 「ついにやってきたのう。眠りの聖地に……!」  彼は催眠の道を極めんとするべく各地で行われた厳しい予選を勝ち抜き、見事四年に一度行われる世界大会に出場を果たしたのだった。
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